「米メットライフがアリコを買収」に思うこと

米政府から多額の公的資金を受け入れた米AIGが米MetLifeにアリコ(American Life Insurance Company)を155億ドルで売却すると発表した。数年前ニューヨークに出張した際、AIGとMetLifeの本社ビルを見てきたことを思い出した。当時はサブプライムローンの問題も表面化する以前であり、今日のような事態は想像できなかった。

アリコは世界の約50カ国で展開しているが、収入・利益のほとんどはアリコジャパンが稼ぎ出している。最近ではクレジットカードの個人情報流出問題が依然として未解決のままで先日金融庁から行政処分を受けたのは記憶に新しい。

一方でメットライフは日本では知名度はかなり低いが、米国では生命保険分野ではナンバーワンの実績を誇る。日本市場には数年前にシティバンクから生保事業を買取って三井住友海上メットライフ生命として銀行窓販専門で営業している。競争が厳しい分野だけに収益率が低く、未だに単年度黒字を達成していない。アリコを買収したことでより収益性の高い事業への進出を進めていくことと思われる。

国内生保から見れば、外資系がドタバタとやってなー、ぐらいの感じだが、実は世界的に業界再編が起こっていて、そのプレーヤーには国内生保は姿形もない。外資は成長市場となるアジアを虎視眈々と狙っているのだが。。。護送船団方式で保護された業界の特性だろうか、この業界も国際的な競争からドンドン脱落していくような気がしてならない。


米メットライフ本社(出張時に撮影)
MetLife

米AIG本社(出張時に撮影)
AIG

参考記事
The Wall Street Journal:AIG, MetLife Reach Deal for Alico
Reuters:MetLife buying AIG’s Alico unit for $15.5 billion
ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版:AIG、アリコのメットライフへの売却発表
ロイター・ジャパン:米AIG、アリコをメットライフに155億ドルで売却と発表
日経新聞:AIG、アリコをメットライフへ売却 譲渡額155億ドル