ついに日本上陸を果たしたAmazonのAIアシスタントAlexaを搭載したスマートスピーカー『Echo』は購入方法が「招待制」という変則的なリリースとなりましたが、今回、運良く招待リクエストが通ったので『Echo Plus』を購入することができました。
基本的な使用方法やセットアップ方法は3機種とも共通で、既に大手メディア等で取り上げられていますので、このエントリはちょっと違った視点で、日本未発売モデルのオリジナルEcho(このエントリではEcho(2015)と表記)との比較、Echo Plusの特長であるスマートホームハブ機能を中心にレビューしたいと思います。
Amazon Echoの歴史
Amazon Echoは米国で2015年6月に一般向けにリリースされました。当時は「何だこの筒状の物体は」という第一印象でしたが、AIアシスタント『Alexa』、常時スタンバイ、遠距離音声システムのユーザ体験は衝撃でした。
日本では1ヶ月だけGoogle Homeが先行しましたが、米国でGoogle Homeが発売されたのは2016年11月であり、スマートスピーカーという分野においてはAmazon Echoが約15ヶ月も先行しています。その間に自らのコンテンツ消費を促すサービスの拡大、液晶付きデバイス(日本未発売モデル)の追加などAmazon Echoの市場シェアは70%(ロボスタより)とライバルを圧倒しています。
ハードウェアとしてのEcho、AIアシスタントとしてのAlexaの詳細は以下のサイトが大変参考になります。
開封や外観
Echo(2015)の真っ黒だったパッケージとは対照的。大きさは同じでした。
Echoの日本リリースにあたって多くの企業からスキル(スマホにおけるアプリ)の提供を受けており、パッケージには聞いたことのある企業名がズラリ。
同梱物はEcho Plus本体の他、スタートガイド、電源プラグ。そう言えば、Echo(2015)に同梱されていたリモコンは付属していませんでした。本体色は、Echo(2015)にはなかったシルバーを選んでみました。シルバーというよりはメタリックグレーという感じ。重厚感があって良い色合いです。
中央下部にはAmazonロゴ。
背面下部には電源ポートとEcho(2015)にはなかった3.5mmステレオジャック。Echo Plusは、オーディオ性能がEcho(2015)より向上しているものの、より高音質で楽しみたい時には外部スピーカーに接続できます。
Echo(2015)と比較するついでにAmazon Echoシリーズの集合写真を撮影。Echo(2015)は右端のブラック。サイズはEcho Plusと同じです(後記の比較表参照)。
上部に配置されているLEDリング(音量調整も兼ねています)、アクションボタン、マイクオフボタンはEcho(2015)と共通です。
底面はEcho(2015)とやや形状が異なっており、Echo(2015)の電源ポートは底面に配置されていました。Echo Plusはスマートホームハブ機能が内蔵されたということでZigBeeロゴが見えます。
ご覧のようにEcho Plusは外見上ではEcho(2015)とほぼ同じで、違いは3.5mmステレオジャックとカラーバリエーションにシルバーが追加された程度です。
Echo(2015)とEcho Plusとの主な比較
Echo PlusはEcho(2015)の後継機なのか、Echo(2015)の後継機がNew Echo(2017)でその上位機種に当たるのがEcho Plusなのか、位置付けが不明なので3機種を比較してみました。
Echo(初代) | Echo(2017) | Echo Plus | |
---|---|---|---|
発売時期 | 2015年6月 | 2017年11月 | 2017年11月 |
価格 (執筆時点) |
$89.99 |
11,980円 | 17,980円 |
スピーカーサイズ | 2.5インチウーファー/2.0インチツイーター | 2.5インチウーファー/0.6インチツイーター | 2.5インチウーファー/0.8インチツイーター |
Dolby デュアルスピーカー | なし | あり | あり |
3.5 mmステレオジャック接続 | なし | あり | あり |
内蔵スマートホームハブ機能 | なし | なし | あり |
サイズ(mm) | D235 W84 H84 |
D148 W88 H88 |
D235 W84 H84 |
重量(g) | 1,064 | 821 | 954 |
新しいサウンドシステム
Echo(2015)で不評だった音質について、Echo PlusではDolbyデュアルスピーカーとして強化され、重低音が増して迫力あるサウンドに仕上がっています。高音部分のクリアさ、ボーカル等の中音域の解像度には物足りなさを感じますが、価格を考えれば満足な水準ではあります。
そして、遠距離音声認識システム(far-field voice recognition)及びマイクは第2世代へと進化しており、騒がしい部屋の中でも高性能なノイズキャンセリング技術により正確に音声コマンドを聞き取ります。Echo Plusのスピーカーから大音量でミュージック再生中にもかかわらず「アレクサ、音楽を止めて」と小声で囁く程度でもしっかり認識してくれます。これは本当に驚きます。
内蔵スマートホームハブ機能
Echo Plusの最大の特長はスマートホーム機器のハブ機能を内蔵したことです。Echoシリーズはスマートホーム機器の独自ハブに接続することで操作可能ですが、Echo Plusは(ZigBee対応機器であれば)ハブ自体を内蔵したため各スマートホーム機器に接続して直接通信することが可能になります。
接続方法は非常に簡単。例えばPhilips Hueライトを接続してみましょう。この電球をソケットに取り付けます(シリアルNoは接続がうまくいかない場合などに必要になることもあるので控えておくと良いです)。
Alexaアプリのメニューから「スマートホーム」を選択し「デバイスを追加」します。
Echo PlusのLEDリングが青く光り、クルクルと回転し始めます。
20秒程度で検出されたデバイスが表示されます。
追加された「二番目ライト」を選択すると音声のほかAlexaアプリからも操作可能になります。
独自ハブ機器(Hueブリッジ)の設置に伴う有線LANや電源ケーブルの接続作業は不要です。極めてシンプルで素晴らしいユーザ体験を実現しています。
内蔵スマートホームハブ機能のメリットとは
従来、スマートホーム機器を接続するためにはそれぞれの独自ハブ機器が必要でした。例えば、Philips HueライトにはPhilips Hueブリッジを介してEchoに接続しなければなりませんでしたが、Echo Plusにはそのハブ機能が内蔵されたのでPhilips Hueブリッジが不要になりました。
これまで独自ハブが必要だった理由を補足しておくと、スマートフォン等からPhilips Hueライトを操作する場合、ネットワークを介して操作しますが、電球自体に無線LAN機能が内蔵されているわけではなくZigBeeという近距離無線通信を使ってハブと呼ばれるハードウェアを経由して通信します。
このPhilips Hueブリッジは7,146円(執筆時点)もしちゃいます。ちなみにこのブリッジには電源と有線LANケーブルの接続が必要です。
他にスマートホーム機器が増えたらどうでしょうか?独自ハブも増えることとなりますので、電源や有線LANケーブルも増え、設置場所や配線の取り回しにも苦労しそうです。
Echo Plusはユニバーサルなハブ機能になりますので、今後購入するかもしれないスマートホーム機器の独自ハブの費用負担を軽減しつつ、スリムでスマートなワイヤレス環境が実現できます。
内蔵ハブ機能を使う場合の注意点
Echo Plusに直接接続したスマートホーム機器をGoogle HomeやSiri経由で操作したい場合、その機器の独自ハブにも接続が必要になります。Philips Hueライトは、Philips Hueアプリから「検出」するだけではPhilips Hueブリッジが認識してくれず、シリアル番号(6桁)を指定するとうまくいきました。
またスマートホーム機器には通常専用アプリが用意されており、独自ハブを介さないAlexaアプリだけでは当該機器の能力を全て引き出すことができない場合もあります。
Echo Plusってどうなの?
他の機種にない「スマートホームハブ機能」が価格差に見合うかという点が判断のポイントになると思います。差額はEcho Dotで12,000円、New Echo(2017)で5,000円になります(執筆時点、キャンペーンは考慮していません)。
Echo Plusは各種機器の独自ハブを不要にして集約するという野心的な製品ですが、日本には対応機器が少ないことと、iOSやAndroidからも操作したければ各機器の独自ハブはやはり必要になってしまいますのでEcho Plusの内蔵「スマートホームハブ機能」を生かし切るのは難しいかなと思います。
スマートホーム機器を始めてみたいという方であれば、Echo Plusなら独自ハブが不要なので、まずはPhilips Hueライトだけで試してみてもいいかもしれません(執筆時点では同時購入キャンペーン中で無料)。
このブログの読者の皆さん(アーリーアダプタのギーク)には、Amazon Echo Plusをオススメしたいですけどね。