Amazon Fire Phone レビュー

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米Amazonが発表したFire Phoneは販売不振らしい。AT&Tの国際データローミングをつかってちょっと試してみた。

開封

Kindleとは明らかに異なるパッケージ。廉価でシンプルなPaperwhiteやミドルレンジのFire HDXのそれとは異なる高級志向の化粧箱である。

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ヘッドフォンも付属とは思えないほど音質が良いし、ケーブルはきしめん型で絡みにくい。使用しない時はイヤフォンがマグネットでくっついて一体化して収納できるという他にあまり類を見ない工夫がなされている。

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写真では分かり難いがリモコンはAndroid系のワイヤードでは珍しい音量ボリュームの調節が可能なタイプ。

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本体外観

一見、iPhone5/sと思うほどデザインは似ているが、大きさは4.7インチ、160グラム。角張っていてスペック以上に重く感じる。iPhoneやGalaxyのように物理ボタンとしてのホームボタンがあり、下側面にはマイク、ステレオスピーカーとmicro-USBポート。

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写真の通り四隅には最大のセールスポイントのひとつであるDynamic Perspectiveのセンサーがある。上側面には電源ボタン、スピーカー、イヤフォンジャック。左側面にはボリューム調整ボタン。その下にはこれも最大のセールスポイントのひとつとなるFireflyボタンがある。

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バックパネルは高級志向し過ぎなのかガラスなので指紋べったり。

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カメラは1,300万画素。画質は他のスマートフォンとも遜色ないように思う。上部中央にはAmazonのロゴが刻まれている。

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ホーム画面

Kindle Fire HDXシリーズのユーザーにはお馴染みのカルーセル型メニュー。アプリやブック、ミュージック、ムービーなどが使用した履歴順に横一列に並び、横スワイプで移動する。アプリやコンテンツ毎に下に履歴が表示される。例えばブラウザは直近の閲覧ページの履歴が表示される。ドックにはよく使うアプリを固定させておくことが出来る。

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左端からスワイプ、または本体を左から右へサッと傾けて元に戻すとコンテンツ・メニューが表示される。スクリーンに触れずに端末の傾きで操作するインターフェースは片手で操作しにくい大型化していくスマートフォンの一つの答えなのかもしれない。

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今度は右端からスワイプするか、右から左へ傾けると天気やスケジュールなどが表示される。天気は日本でも表示されるものの温度は華氏表示のみ。

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画面下の外側から上側にスワイプするとアプリ一覧を表示。ドロワーは上下に移動する。

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キャリアについて

コンタクトフリー版もあるがアンロックされている訳ではない。AT&Tの現あるいは旧メンバーであればホームページからSIMロック解除申請が可能。日本に居住しながらというのは実質不可能。

Amazonアカウントについて

日米アカウントを結合していても米アカウントに切り替えることで使用可能。ただしどういうわけかAppstoreでは強制的に日本アカウントに戻されてしまう状態。

マップについて

日本仕様ではないので使い物にならない。

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ニューヨークのマンハッタン島にあるバッテリーパーク周辺。傾けると3Dになって表示される文字情報も変わって面白い。

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With Dynamic Perspective

目玉のひとつ。日本語でなんと訳されているのか不明。動的視点とかになるのだろうか。本体前面の四隅にあるセンサーで本体の傾きに応じて表示される内容が変わる。

たとえばコレ。本体を右に傾けた状態。ちょっと右向いている。

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それからロックスクリーン。動的な壁紙というだけでなく、上下左右に傾けると見え方が変わる。奥行きがあるように見える。

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先ほどのマップとか面白いけど何の役に立つのか不明。

Firefly

これも目玉の一つである。この名前の由来は不明だが、自動認識するセンサーが対象物を探し回り、群がる姿が蛍に見えなくもない・・・AndroidやiPhoneに提供されているAmazonアプリのカメラを使ったバーコード検索機能を、バーコード以外のURL、電話番号、メールアドレス、音楽、映像にまで自動認識を拡張させたもの。

例えば、本のバーコード部分。近くにURLもあるので両方取得できる。これを認識するのに3〜5秒程度。ちなみに、本の表紙全体をかざすだけでも認識する。

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そのままアマゾンで買い物、Kindle Storeで購入できてしまう。URLやメールアドレス、電話番号はそのままコンタクトアプリへの登録が可能。文字入力の手間が省ける優れもの。

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音楽でも試してみた。ShazamやSoundHoudのようなもの。

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ミュージックを聴かせて10秒くらい。正しく認識された。

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まとめ

iPhoneとAndroidでしのぎを削るスマートフォン界隈。Kindleはタブレットというよりは電子書籍リーダーだし、Fire HDXはその延長線にあるエンタメ機能を拡張したから受け入れられているのであって、Fire PhoneとなるとガチンコでiPhoneやAndroidと戦うことになる。

Amazonコンテンツは充実しているものの、スマートフォンに必要なアプリを提供するAmazon Appstoreはラインナップが貧弱過ぎる。低価格で受け入れられていたPaperwhiteやFire HDXとも異なり価格優位性もない。ハード的に飛び抜けたスペックでもない。

第2世代、3世代と続いていくのかもしれないが、Kindleにはコンテンツ消費マシンたり得る画面の大きさ(空間)が必要なはずで、4.7インチでは楽しむサイズではない。しかし、Dynamic PerspectiveやFireflyは先進的な機能であり、Fire HDXへフィードバックしてくるのではないか。

利益を削って投資した割に今後の展開が難しいのではと感じさせる一方でAmazonなら想像もつかないことをやってのけるのではという期待もあり、良い意味で裏切ってもらいたい。