国民生活センターが発表した放射線測定器の検証結果について

先日、国民生活センターが「比較的安価な放射線測定器」の性能を検証した結果を公表しました。1ヶ月ほど前に購入したDoseRAE2(PRM-1200)も対象になっていたので目を通してみました。

福島第一原子力発電所の事故を契機とし、原発や放射線に関する情報は氾濫し、何が真実なのか混乱するばかりです。今回の検証結果も鵜呑みに出来ないような指摘もされています。

個人線量計を購入した理由

原子力や放射線は専門性の高い分野です。不安を煽られることを避けたかったので事故後の各メディアの特集や専門分野の大学教授などのツイートは意図的に遮断していました。

その後、数ヶ月経過し、広い地域で通常値を超える放射性物質が確認されるようになり内部被曝の危険にさらされる事態となってきました。文部科学省や各自治体が各地点の空間放射線量を公表しており、自分の生活環境ではそれほど高い値ではないので安心していましたが、局地的に高い値を示す「ホットスポット」という場所があるようで、自分の居住地域や生活空間で実際どれほどの線量なのかが気になり始めたのがきっかけで購入しました。

事前知識は何もないのでまず秋葉原に行って売れ筋の機種と値段をチェック。帰ってからグーグル先生にいろいろと教えてもらいました。値段は転売業者の独壇場のようで、通販サイトやオークションサイトでは実際の価格の2倍や3倍の金額で取り扱っているケースもあるようでした。製品についても評判もよくないものが多く個人線量計の選定は思ったよりも大変でした。そして最終的にたどり着いたのが米RAE systems, inc社のDoseRAE2(PRM-1200)です。

 

サイズは名刺サイズ。iPhone4との比較。
01DoseRAE2
 

 

エネルギー補償付き(2年が目安)
02DoseRAE2
 

購入にあたっての予備知識はこちらを参考にさせていただきました。

放射線・放射線測定器のメモ

DoseRAE2(PRM-1200)と自治体の空間放射線量測定結果の比較

DoseRAE2(PRM-1200)は何十万円もするような高価な測定器ではありませんから測定に5分ほど要しますが、自治体が公表しているシンチレーション式サーベイメータの測定値とほぼ一緒だったので値段を考えれば十分なレベルと満足していました。持ち運びにも便利で、付属クリップを使えばビジネスバックに挟んでおくことができます。また防護用ポケットクリップも付属していました。

 

日本語マニュアルも付属
04DoseRAE2
 

国民生活センターの「比較的安価な放射線測定器の性能」検証結果

独立行政法人の国民生活センターは消費者庁が所管する機関であり、「国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行う」ことを目的としておりますので、一般消費者向けに放射線測定器に関して最も平易かつ網羅的な説明および検証をしているものと期待できます。

今回の検証対象にDoseRAE2(PRM-1200)も含まれていましたが、全ての検証対象製品について「通常の環境程度以下の自然放射線を正確に測定できなかった」「照射線量率と測定値に相関がみられたが、総じて正味値が低く、ばらつきも誤差も大きいため、正確な測定はできなかった」と結論づけられました。

比較的安価な放射線測定器の性能(発表情報)_国民生活センター

この結果を受けて朝日新聞の報道は次のとおり。これを読んだ人はどう感じたでしょうか?

asahi.com(朝日新聞社):ネット販売の放射線測定器、結果ばらつき 生活センター – 東日本大震災

国民生活センターの検証結果は正しいのか?

この結果に目を通して「やはり、もっと高いものじゃないと正確な値は計測できないのかなぁ」と感じましたが、他の機種はわかりませんがDoseRAE2(PRM-1200)について調べてみると国民生活センターの検証方法自体に問題があったのではないのかという記事を見つけました。たとえば、この製品のセンサー位置は正面の「+」マークの部分ですし、ただしい値を読み取るのに5分程度必要なのですが、同センターの検証では「137Cs由来のγ線がテスト対象銘柄の背面に当たるよう」「線源を設置してから10秒後の数値を1回目として記録し、以降30秒毎に9回数値を記録した」のでそもそも正しく計測できないのではないかという指摘です。

DoseRAE2と国民生活センターのテスト結果について:事実は雄弁に勝る 付録:米ORNLのテスト報告書 | gslab-blog

また、東京都やその他の区がDoseRAE2(PRM-1200)の測定値を検証していることも紹介しています。

情報収集と共有

国民生活センターの測定器の性能における検証結果を全て正しいと単純に受け入れることはできないのかもしれません。ただ、矛盾しているかもしれませんが、同センターが「環境中の放射線を測定する場合、公表されているデータ等を参考にし、測定器の示す値を直ちに信頼することは避ける」としている点には同意できます。

要するに、測定器の結果が絶対的に正しいものと証明することは前述のように非常に難しい作業です。購入する際はブログ等に実際に使用しているユーザのレポートがたくさんありますので参考にすると良いと思います。また、購入後の測定結果については、文部科学省や地方自治体が公表している空間放射線量や、個人が測定した結果を共有するサイトの値などを参考にしながら、信頼度がどの程度なのかを評価するのがよいように思います。

測ってガイガー!

そして、自分が購入した線量計について測定結果や信頼度などを可能な限り情報発信して共有することが大切だと思います。何しろ決定的に情報が不足している分野ですから、これから購入しようと考えている人たちへに役立ててもらえるかもしれませんし、情報の蓄積が粗悪な機種や悪徳業者を排除すること可能になるかもしれません。この件については今後もエントリにしていこうと考えています。

最後に。説明書は必ず全部読みましょう。。。たとえばDoseRAE2(PRM-1200)は線量率範囲に応じて設定を切り替える必要があります。