Kickstarterが10周年を迎えたそうなので、自分が支援したプロジェクトを振り返ってみることにしました。初めて支援したのは6年前なので、それより4年も前にクラウド・ファンディングという考え方があったことに驚きました。
主に支援した時期は2013年から2016年で合計38のプロジェクトに資金援助しました。うち、ファンディングに成功(目標額に到達)したのが35で、開発に失敗して返金されたのが3ありました。
支援するための心構えで重要なのは技術のあるスタートアップを支援したいという気持ちで、長い目で温かく見守る必要があります。
ファンディングを成功させるためのプレゼンを鵜呑みにしてはいけません。まず納期は間違いなく遅れます。経験や実績に乏しいスタートアップであればやむを得ないことです。試作品が完成しても、量産フェーズの部品調達や工場ラインで躓きます。
私の資金援助したプロジェクトのリワード受け取りは平均すると2年くらいでしょうか(4年経過しても未完成のプロジェクトもあります)。したがって資金援助した時点の先進的な技術が保たれている保証はありません。
次の3つは私が資金援助し、その後のマーケティングなどにより成功したと思われるプロジェクトです。
まずは、今では当たり前になりましたが、すでに2015年11月時点で製品化された完全ワイヤレスイヤフォンをリリースしたEarinです。当時はマイクもない音を聞くだけのイヤフォンで、左右の接続がブチブチ切れまくっていました。その後、Earin M–2として着実に進化させています。
ほぼ同じタイミングで開発キットをリリースしたBragi社のDashです。音を聞くだけのEarinに対してタッチパット、心拍センサー、内蔵メモリ、マイクなど高機能を実現。海外では本年4月にソフトウェアの開発に専念するために身売りが話題となっていました(Source: Bragi, Known for ‘Dash’ Wire-Free Earbuds, Sells Wearables Business)。
そして、これはもう文句なしで最高傑作だと思います。IRKitの後継機としての開発をクラウドファンディングを通じて資金調達した『Nature Remo』です。
ネットワーク対応の学習型リモコンは、Google HomeやAmazon Echoなどの登場によりますます競争が激化し群雄割拠の状態。手元のリモコンの赤外線を照射するだけでエアコン、TV、照明のほとんどが登録可能なプリセットを用意するなど進化を続けており、またIRKitから開発環境を提供してくれている点では他にはない魅力があります。