「日米アカウント結合後は米Kindleストアで購入できなくなるので注意が必要」という情報。これは正しくもあり、誤りでもあります。実際にアカウントを結合して検証してみました。
結論は「日米アカウントを結合すると実質的にシングルアカウントになるので、購入ストアはAmazon.co.jp(JPストア)かAmazon.com(USストア)のいずれかを選ぶ必要がある。両方のサービスを同時には受けられないが、購入ストアはいつでも自由に変更できる」ということです。一定の制約(後述)を受けますが、一つのアカウントで日米両方のKindleストアから購入できるようになります。
日米アカウントを結合するためには
USストアのManage Your Kindleから行います。ただし、JPストアでコンテンツ購入済みの場合は、カスタマーサービスへ依頼する必要があります。また、JPストアにデバイス登録されている場合は、一旦、My Kindleから登録解除が必要です。
その他、USストアとJPストアでIDとパスワードが同一の場合にはエラーとなることも報告されています。解決出来ない場合はカスタマーサービスへ照会することをオススメします。
わたしの場合、JPストアでコンテンツを購入済みだったため、カスタマーサービスへ依頼せざるを得ず、依頼から2時間ほどで結合完了の返信メールがありました。依頼時に求められたUSストアの登録情報は次のとおりです(今後変更になる可能性もあります)。
- メールアドレス(E-mail)
- アカウント名(Name)
- 請求先住所(Billing address)
アカウント結合するメリット
- USストアとJPストアの各ストアで購したコンテンツやPersonal Document Serviceのドキュメントファイルが一つのライブラリに統合されます。
- 選択する購入ストアに応じてKindleデバイスやKindleアプリ(Androidのみ)は自動でアクセスするストアを判定します。言語環境を変更したり、ログインし直す手間が省けます。
- 購入ストアに関係なくライブラリにあるコンテンツはWhispersyncで最新の閲覧場所、メモ
ハイライト等を同期できるようになります。 - 購入ストアがJPストア時は日本円、USストア時はUSドル建て決済が可能になります。
- デバイス管理も統合され、Manage Your KindleとMy Kindleの登録デバイスは同一内容になります。
購入ストアの切替えで注意すべきこと
音楽やビデオ、アプリのコンテンツについて、日本国内のUSストアユーザであれば書籍以外のサービス利用には一定の制限があるのであまり影響ないように思います。
一方、米国在住のユーザはUSストアの地域制限がないフルサービスを受けられるので書籍以外のコンテンツを購入していると日本国内ユーザよりは影響を受けるかもしれません。(検証できないので憶測ですが)購入ストアをJPストアへ切り替えたことで利用できなくなった購入済みコンテンツはUSストアへ戻すことによって再び利用可能になるのではないかと思います。
- USストアが提供している新聞や雑誌の定期購読商品は、アカウント結合だけではキャンセルされませんが、JPストアに変更すると同時に自動キャンセルされ未発行の既払い分がある場合は返金処理が行われます[2012/11/13カスタマーサービスへ指摘したところ2012/12/7に回答があり公式ヘルプも修正されています]。
- Amazon.com MP3ストアで購入した音楽はCloud Playerではサポートされなくなります。アカウント切替前にローカルディスクにダウンロードしておく必要があります。
- 購入したビデオは地域制限があるためアカウント切替後は利用できなくなります。
- 購入したアプリやゲームは継続して使用可能です(Amazon.co.jp ヘルプ: Amazon アプリストア)。
書籍と定期購読商品以外は検証していませんので、詳細はUSストア公式ヘルプを確認してください。不安な方はアカウント結合を見送った方が良いと思います。
アカウント結合後にどちらの購入ストアになっているか確認する
アカウント結合直後は購入ストアはUSストアの状態です。USストアのManage Your Kindleにアクセスするとメニューバーの下に次のようなメッセージが出ています
購入ストアがJPストアを選択されているとUSストアのManage Your Kindleには次のように表示されています。
購入ストアがJPストアを選択されている場合は、JPストアのMy Kindleのメニュー下には次のように表示されます。
購入ストアをUSストアからJPストアへ切り替える
切り替える方法はいくつかあります。そのうちの一つをご紹介します。USストアのManage Your Kindle>Country Settingsから欄外にあるLearn Moreを選択します。
Your Kindle Storeメニューが現れるので、Learn about transferring your Kindle account to Amazon.co.jpをクリックします。
注意事項が表示されますので内容を確認し、Yes, Change Preffered Shopping Siteをクリックします。キャンセルする場合はNo, Thanksを選びます。
この時、USストアの定期購読商品(Kindle Subscriptions)を購入している場合は、以下のように異なるメッセージが表示されます。購入ストアをJPストアへ変更したと同時にキャンセルされ、購読料を支払っており未経過分がある場合は返金処理が行われます。登録メールアドレスに”Kindle Subscription Cancellation Confirmation”というタイトルのメールが届きます。
これで購入ストアをUSストアからJPストアへ切り替えることができましたので、日本語書籍やコミックを購入することができます。
購入ストアをJPストアからUSストアへ切り替える
USストア側のManage Your Kindleから切り替える場合は上述の最後の部分でUSストアがクリックできるようになります。
購入ストアがJPストアの場合はMy Kindleからも切り替えることが可能です。
JPストアのMy Kindleにアクセスして、居住国設定を選択。欄外の「詳しくはこちら」をクリックします。
Kindleストアの選択画面になりますので、「USストアに登録を変更するには」をクリックします。
注意事項が表示されるので内容を確認し、問題なければ「はい。好みのショッピングサイトを変更します」をクリックし、キャンセルする場合は「戻る」を選択します。
これで購入ストアをUSストアに戻すことができました。
このように購入ストアの変更は自由に何度でも行うことができます。
選択している購入ストアにあわせて自動的にUSストアまたはJPストアへアクセス
Kindle PaperwhiteやKindle Fire HD(7インチ)、Kindle for AndroidはKindleストアへアクセスすると、選択している購入ストアにあわせて自動的にUSストアまたはJPストアのKindleストアへアクセスします。Kindle for iOSはAppleのアプリ内課金の制限があるためアプリ内からKindleストアへ直接アクセスすることは出来ません。
試しにWebから購入ストアのJPストアとUSストアを切り替えてKindle for Android内でストアへ移動してみると自動識別していることがわかります。
日本語書籍はJPストアに限定される
購入ストアをUSストアに選択していて、JPストアのコンテンツを購入しようとすると購入ストアの切替を促されます。USストア選択時には日本語書籍が購入できません。
一方、Amazon.comストアで購入する場合、購入ストアを自動識別するKindleデバイスやKindle for Androidからは購入ストアをUSストアに変更しなければなりませんが、Web上からはJPストア選択時であってもAmazon.comストアでUSドル建てで購入することができます。
ただし、USストアが提供する定期購読商品(Kindle Subscriptions)は以下のように地域制限のため購入できません。全て購入できるわけではありませんが、JPストア選択時にもUSストアの書籍をドル建てで購入できることは、さらに「購入ストア切替え」という手間を減らせそうです。
将来的にはJPストアでもその日の朝刊が自動的にKindleデバイスに配信されるようになるといいなぁと思っています(例はKindle Paperwhiteに配信されるNew York Times紙)。
日本で発売されないKindle Touchは?
残念ながらKindle Touchでは統合後のライブラリを閲覧できるものの、日本語コンテンツをダウンロードしたり、JPストアにアクセスすることはできません。
ライブラリからダウンロードしようとするとUnavailable for Downloadとエラーになります。
JPストアのKindleストアにはアクセス出来ません。
この他のKindle Keyboard(=Kindle3)やKindle(=Kindle4)も同様です。なお、Kindle2/DXは日本語表示に対応していません。
紛らわしいAmazon.co.jpのヘルプにも明確に記載
アカウントを結合して購入ストアにJPストアを選択するとUSストアで購入は出来なくなるということについて、Amazon公式ヘルプも紛らわしい表現になっています。[2012年11月6日追記]公式ヘルプにて表現が修正され、アカウント結合後の購入先変更ができることが明記されていますので最新状態をご確認ください。
アカウントを結合すると、Amazon.co.jpとAmazon.comのそれぞれのサイトでKindleコンテンツを購入できるようになりますか?
アカウントを結合した場合、コンテンツを購入するサイトを選択する必要があります。Amazon.co.jpを購入サイトとして選択すると、Amazon.comでKindleコンテンツを購入することはできなくなります。同様に、Amazon.comを購入サイトとして選択すると、Amazon.co.jpでKindleコンテンツを購入することはできなくなります。
via Amazonヘルプ:アカウントの結合 – 2012/11/2時点
購入ストアの切替ができることを明示的に記載して欲しいものです。
また当初、アカウント結合を解除することはできないという説明を読んだ気がしますが、カスタマーサービスへ依頼すると可能なのかもしれません。
アカウントの結合を解除することはできますか。
お客様ご自身での解除は行えません。解除をご希望の場合はAmazon.co.jpのカスタマーサービスまでご連絡ください。
[2012年11月6日追記]カスタマーサービスに照会したところ、アカウント結合後の解除は「原則」不可との回答でした。いつも迅速かつ丁寧な回答で感心します。本当にありがとうございます。>Amazon.co.jpカスタマーサービス担当の方
アカウント結合すべきか
先日、次のエントリにまとめたとおり日米アカウントを併用することは可能ですが、購入ストアを自由に切り替えできるならアカウントの結合しても問題はないユーザの方は多いのではないでしょうか?
アカウントの結合をすべきでないケースとして考えられるのは、USストアの定期購読商品を利用してると上述のとおり購入ストアの変更と同時に自動キャンセルされてしまいます。
また、その他のUSストアでしか提供されていないサービス(例えばWhispersync for Voice)やコンテンツについて、JPストアに切り替えた時にどうなるのか不明なことが多いです。USストアのヘビーユーザーがアカウント結合を躊躇せざるを得ないのはなんとも皮肉ですが、不安な方はしばらく様子を見た方が良いと思います。
今後も検証できたものは追記する予定です。
「日米Kindleアカウントを結合しても購入ストアは自由に切り替えできます」への7件のフィードバック
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つまり定期購読してるからまだ待った方が良いのかな
検証を追記しました。定期購読の優先順位が高いようでしたら見送った方が良いと思います。
Paperwhiteで試した限りでは、アカウント統合しないでco.jpに切り替えてもダウンロード済みの.comのコンテンツはそのまま読めるようなので、とりあえず様子見…素直にもう1台かなぁ
お久しぶりです。
touchを持っています。洋書を何冊かAmazon.comで購入しているのですが、アカウント結合後にAmazon.co.jpで購入した洋書は読めるのかがポイントです。もしすでに試されていたら教えて下さい。また、iPhoneやiPadのKindleで購入した電子書籍はライブラリから3G回線を使って
ダウンロードできるのでしょうか?
kindle touchを所有しています。Amazon.comで何冊か購入したeBookがありますが、アカウントを結合した場合、新たにAmazon.co.jpで購入したeBookはkindle touchでダウンロードして読めるのでしょうか?もしすでに試されていたら教えてください。
ご無沙汰しております。確認してないのでわかりません。ごめんなさい。今のところそういうニーズがないので・・・
コメントありがとうございます。あと操作ミスで同じ内容のコメントを投稿してしまい、ごめんなさい。もしチャンスがあったら、ぜひ無料の洋書(eBook)ででもお試しいただければうれしいです。
当面、日本語が読めそうもないkindle touchを有効活用できるのなら、アカウントを統合したいと思っています。あるいはMac (PC)/iPad/iPhoneのKindleアプリでのアカウントの変更をスムーズに実行する環境があればなぁ、などと思っています。
いつも貴重な情報をありがとうございます。